鶏品考

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鶏品考

 著者、年代等不明 安政の頃か

  和名 ニワトリ 古名 クタカケ 俗名 シヤウコク

 説文に云う 鶏は時を知る畜也 韓詩傳云う 鶏に五徳有り

首に冠を戴くは文也 足に摶距(ケヅメ)あるは武也 敵前に在るに敢て闘ふは勇也 食を見て相呼ぶは仁也 夜を守りて時を失はざるは信也

 本草綱目 時珍日く 鶏者諬也 諬時也 広志云う 大なる者日く蜀  小なる者日く荊 凡そ人家無き故に 鶏夜鳴く者と謂う 之れ荒鶏にして主の詳しからず者は 黄昏に独り啼く者は年有り 天恩謂う之れ老鶏の盗啼と矣

 古昔百済国より日本に始て渡りたる故に百済家鶏の名有り 広志の大者日蜀と云う

もの今シヤウコクと云ものならん 是当時大シヤウコクと云

此條は地シマウコクと云 鶏冠一枚トサカと云

羽形赤し黒みもあり 是をあふら鳥と云

雌かは茶羽色あかかしわと云 朝丑刻より啼は

声と云て時を謳う所謂 はつ鳥と云 ユウツケドリ

羽毛種類多し 雄鳥足指前三後一又蹄の爪あり

アフラ毛 真黒 白笹 黄笹 碁石

真白 明神と云 ナマカベ シヽラ

 雌鳥

かは茶カシハ 真黒 白カシハ カシハ 碁石

真白 ナマカベ シヽラ

 鶤鶏 トウマル

鶏冠一枚ザカ也 五岐(ゴマイ)を上品とす 羽毛両足皆

雌雄ともに黒し 大者勢(背)甚高三尺 此鳥啼

遅暁卯刻啼 闘時弱 一種羽毛黒 アブラあり

雌 カシワ 黄足あり 諸鶏の中勢(背)高し

 暹羅 シヤム

鶏冠 三枚ツク子ザカ 此鳥雌雄一枚サカなし

惣てツク子ザカ之形大而強也 面影するどし

足鶤鶏より太く強し羽毛色右に同

 闘鶏 アイノコ

是シヤムと蜀と交り生する故間の者故其名

アイノコと云 闘鶏に利あり博徒勝省

をみて損益を得 市中に流行す 此鳥似シヤム

にシヤウコク互也 すぢのこきを闘鶏に不用

形小者を闘鶏に利ありと云 羽毛種々あり

如し シヤムのアフラ キサヽ コイシ 黒 シヽラ 

等あり雌カシワ 黄ズ子とて食用の上品とす 冠は

ツク子ザカ之面顔シヤムづら するどきを云 きすこづら

魚キス子に似りとて柔和なるを云なり

 大シヤウコク

是トウマルにシヤウコクを交り生せしものなり

作るもあり いつれ鶏冠一枚さか之五岐を最

上とす 俗に五枚さかと云 鶏冠大なるを大ざかと云う

五岐七岐九岐あり 九岐のさかをトウマルサカ

と云て甚大なり 形トウマルに似て太く背ひくし

トウマルタチ シヤウコクタチの二品あり 鶏鳴

に時を謡ふ 羽毛種々あり 先 白さヽの胸黒を

最上とす 真黒是に次 黄さヽ 碁石 白毛

下品とす 其余 アフラ ナマカヘ シヽラ 手羽

白の烏毛種々あり

 矮鶏 チャボ ヂスリ

此鳥チャホ国より渡りたる者之 至て小者背低

きを上品とす 鶏冠一枚さか之 足のうろこ五枚を上

とす 羽毛 ウス毛上品 カツラヤ毛上品 紀州黒上

白中 碁石中 白サヽ中 黄サヽ中 アフラ下品 ナマカベ上品 シジラ中品

 一種 大鶏冠 オオサカと云 近年作り出せし者之

 シヤウコクにて交り作る之 冠至て大也 四五寸もあり

 羽毛右に同 薄毛 葛籠毛を上品とす

 一種 ハンチャ 是も矮鶏とシヤウコクと交り

 生する 之形チャホに似て足少し長し 是世人余り

 賞翫せす 至て下品之 冠も小さし 一枚もつく子も

 あり 羽毛もさしけあり一類に 究種々あり

 一種 反毛鶏あり チャホに多あり 羽毛種々あり

 

 烏骨鶏 通名 ウコケと云

此鳥初め南京より渡りたりと之 南京ウコケ

最上とす 骨肉黒く 羽毛白く糸毛と云て

糸の如く細きを上品とす 冠平にして菊の花の

形に似り 面顔も頭も足も黒し 足向ふ三指 

 後三指岐あり 前三後一指尋常之 此鳥に

 限り六ツ指なり 時啼 石定卵を最上とす

一種 ウコケヲトシ  頭に冐毛あり白鷺の如し

 烏骨鶏にシヤウコクの羽毛の色を交合せし

 なり 冠赤く つく子足黄なり 下品とす 近来

 黒羽 碁石 たぬき毛等あり 皆 外の鳥

 を合せ作りし也 反毛の者あり

一種 バケ

 是もウコケヲトシと云 円羽とて常の羽之面

 顔ウコケに似り羽毛種々あり 足指五岐七岐あり

一種 間シヤウコク

 此鳥間の子にシヤウコクを交合せし 之冠三枚つく子

 羽毛種々あり 形地シヤウコクに似て少し大 之

一種 雌鳥ナリヒラ 評日ムカシヲトコ

 是雌にして足に毛つめあり 面顔雄に似り

 首の錺り毛 尾の錺り手羽皆雌にして雄の

 所作あり 卵生せす 諸鶏中に皆あり

 所謂俗にフタナリと云 牝鶏の且するは此鳥也

     三枚ツク子

ウコケ

        五枚    鶤雞鶏冠