万葉集品物図絵

  国立国会図書館 近代デジタルライブラリー 古典籍資料

 

万葉集品物図絵 三 鳥類 獣類 魚類 虫類

 マンヨウシュウヒンブツズエ
 鹿持 雅澄(1791~1858)

  土佐藩士の国学者

 

  6/44頁 にわとり

 

鹿持雅澄(かもちまさずみ)は、寛政三年(西暦1791年)四月、土佐に生まれました。生家は飛鳥井氏の支流と伝えますが、雅澄が生まれた頃には家運すっかり傾き、生活は甚だ豊かではなかったようです。京や江戸への遊学など望みも得なかった雅澄は、生涯を土佐の地に暮らし、ほぼ一貫して独学により和漢の古典の研究に励みました。壮年を過ぎた頃、ようやく声望高まり、藩に招かれて歌学国学を講ずるようになります。のち尊攘の志士として活躍する武市半平太・吉村寅太郎らはその門人であり、土佐における勤王運動の高まりに雅澄の与えた影響ははかり知れません。
 『萬葉集古義』の筆を起こしたのは文政六年(1823年)、雅澄三十二の年でした。以後その執筆に三十余年を費やし、安政初年頃、百四十一巻を超える大著を脱稿しました。その後も倦むことなく推敲を続け、安政五年(1858年)、古学に捧げた六十八年の生を終えました。

 

 万葉集に詠まれている動植物計235品を図示し、各品に該当する和歌1首を万葉仮名で挙げますが、注記はありません。本書および本書に対応する『万葉集品物解』 (文政10 (1827) 成) はその一部です。

 

 

   かけ 又 にはつとり 又 いへつとり 又 とり とも

 

 里中爾。鳴奈流鶏之。  サトヌチニ。ナクナルカケノ。

 喚立而。甚者不鳴。陰  ヨビタテテ。イタクハナカヌ。コモリ

 妻羽毛          ヅマハモ

 

万葉集番号 第11巻/2803

 

 原文 里中尓。鳴奈流鶏之。喚立而。甚者不鳴。隠妻羽毛

 

 訓読 里中に鳴くなる鶏の呼び立てていたくは泣かぬ隠り妻はも

 

 仮名 さとなかに,なくなるかけの,よびたてて,いたくはなかぬ,

 

    こもりづまはも

 

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 万葉集品物解 四 宮内省 明24.10 (1891)

 

  か部 かけ

      にはつとり いへつとり とり

 

かけ 可鶏 鶏

和名本草に鶏 和名爾波止利とあり 今の世にも庭鳥と呼り 

常に人家に畜ふ鶏なり 名義は彼の鳴声の可気可気(カケカケ)と

聞ゆるより 負せたるなり 

家鶏の字音と思ふはあらぬことなり

神楽歌にも庭鳥はかけろとなきぬなり 

おきよおきよ わがかとよつまひともこそみれとあり