家禽図譜

 家禽図譜 附審査法 明治28年10月6日 初版発行 

           佐藤信平編 東京家禽雑誌社発行

 内国種

  第十図 シヤム鶏 / (13/57) 

  第十一図 長尾鶏 / (13/57)   解説(45/57)

  第二十八図 チャボ鶏 / (22/57)

 

家禽図譜 訂正増補 明治34年11月20日 増補三版発行

          佐藤信平編 東京家禽雑誌社発行

内国種

 第十ニ図 シヤム鶏 / 31頁 

 第十三図 長尾鶏 / 32頁

 第三十一図 チャボ鶏 / 33頁

 第三十二図 絹羽鶏(烏骨鶏)/ 34頁 

 長尾鶏

 此種の本邦に渡来せし年代は詳かに知るへからすと雖も昔時朝鮮国より同種を移し 改良を施したるものにして土佐及広島地方に古く蕃殖す 其尾羽の長さ通例五六尺より一丈内外に達し罕には一丈三四尺ものあり 其体量雄は五百匁より八百匁雌は四百匁より六百匁位にして産卵の数は甚た少なく一卵の重量十三匁を超へす 種類は羽色に銀灰色、白色、褐色等あり愛玩種中殊に奇観なるを以て内外の人に大に珍重せらるるなり

 

審査標準

 合格の諸点

  雄 鶏

 頭は稍大にして深く羽毛多生し其色白く而して羽毎に中央に細小なる黒線を有す即ち銀灰色なり嘴小にして長く上下殆ど相並ひ色は帯紅黄色眼能く開き清明にして暗い紅色顔面鮮紅なり 冠は単にして中形直立し鋸歯深く五枚を以て良とす色鮮紅なり 肉髯及耳朶、肉髯大且長垂辺円くして滑らか色は鮮紅耳朶は小円にして白色なり 頸は長からずして斜に平立し夥多の羽毛は肩に覆はるのみならず両側に垂れて咽下に至る而して羽毛は銀灰色なり 背は背幅中等にして短く総て頸羽に覆はる 胸は濶からすして平円暗黒色なり 体躯は大ならすして長く色暗黒なり 翼は中等にして体躯に適当し能く締り羽色は肩即ち頸羽に覆はるる部分のみ黒色にして以下淡褐色なり而して主翼の上部は黒色にして下辺は白色なり 鞍羽は銀灰色多く生へて簑羽を覆ひ蓑羽は絹糸の如く能く伸ひ長きもの三尺余其幅二分内外なり 尾は黒色にして光沢を有し其数長短合して二拾枚程あり長きものは壱丈二三尺短きも三四尺に及ふ其幅五六分あり 脚及趾、腿は小にして長く羽毛黒色頸亦腿に準して小長丈け四寸許あり其色暗鉛又は藍色なり趾四本にして色脛に同し 

 

  雌 鶏

 頭は中等にして大ならず羽毛淡褐色顔及嘴の出来工合並に色抔は雄に異ならすして只小なるのみ 冠は最も小形なる単冠にして色鮮紅なり 肉髯及耳朶、肉髯は体に比しては長幅共に小なる方にて円形を為し鮮紅色を有し耳朶も矢張小なる円形にして色は白を良とす 頸は短小にして背に向ひ稍平状を呈して漸降す羽毛淡褐色而して毎羽の先端に極めて薄き黄金色の覆輪あり 背は狭小にし稍長き方なり羽色は連なりて淡褐に黄金の覆輪あり 胸は濶からすして平円淡褐色なり 体躯は小にして円く且深し羽色淡褐よりも一層薄き方なり 翼は中庸にして能く体に適ひ且・い工合等雄に異ならす色は頸羽背羽に続ひて淡褐色なり 鞍羽は絹糸様の淡褐色なる鞍羽は能く簑羽に被むれり簑羽は程善く垂れて膝節に及ふ色鞍羽に同し 尾は躯幹其他に釣合を欠く程甚た長ふして主羽は殆んど尺余に達す然れども能く平直に又能く緊る色は常灰色なり 脚及趾、腿脛並に趾共に細小にして甚た長く微風にも尚ほ運歩に困するか如き観を呈せり色は含藍暗鉛色なり

    

 

 明治28年10月 6日 初版発行

 同 31年 6月20日 増補再版発行

 同 34年11月20日 増補三版発行

 

  編集兼発行者 佐藤信平

  発行所 東京家禽雑誌社