高 知 新 聞


 

 高知新聞(夕刊) 2013年(平成25年)5月30日(木曜日)7面記事

 

 「鶏王国・高知」ピンチ

   愛玩鶏の飼育者高齢化、鳥インフル (掛水雅彦)

 

 8品種もの日本鶏を生み出して「鶏王国」の異名を持つ本県の愛玩鶏事情が危機にひんしている。

「国の特別天然記念物」のオナガドリは数が少ないとはいえ行政支援があるが、その他の7品種は愛好家頼み。

その飼育者の高齢化が激しく、後継者も不在。愛好家で作る県日本鶏保存会は活動のメーンイベント、品評会を7年間も開いておらず、3年前からは会長の座も空席。衰退の一途で、愛玩鶏の本場高知から優良な鶏が消え去る懸念が出ている。
 
 本県は江戸時代から観賞鶏作りが盛ん。国内の日本鶏三十数品種のうち8品種を占め、「国の天然記念物」以上に絞ると17品種中、6品種。突出した多さから「鶏の聖地」とも呼ばれる。
   オナガドリは南国市が保存事業の主体者となり、地元保存会への資金支援もしているが、東天紅、ミノヒキチャボなどの他品種は特段の保護策もない。宿毛市原産の宮地鶏は純粋品種がいるかどうかも分からないと言われる。
   第2次世界大戦の食糧難で絶滅寸前に陥った日本鶏は戦後、貴重な食糧源、観賞用のペットとしても重宝。1990年代後半には県内に四つの愛好団体が存在(オナガドリを含めると5)し、春秋に高知城追手門周辺などで品評会を開催。風物詩にもなっていた。
   だが、趣味の多様化、鳴き声、臭いの弊害、価値の下落から人気は次第に落ち、2000年代初頭の鳥インフルエンザ発生で一転、厄介ものに。名物だった高知市の日曜市の露店からも姿を消した。現在の県内愛好団体は1組織(オナガドリは除く)。若手が少なく労力不足のため、かつては関西一円から出品があった品評会も開けず、世間へアピールする機会も失っている。
   また、会員の中で長年にわたって優良鶏を飼育してきた人物は7人いるが、いずれも70歳以上で最高齢は88。後継者はおらず、加齢とともに世話が重荷となり、飼育数を減らしている。
   本県の特産鶏は県外の愛好家も飼っていることから、県内での衰退がそのまま品種の絶滅につながるわけではないが、本家の衰退は、品種特徴をきちんと見分けられる人材の枯渇につながり、本物の体形や羽色を維持できなくなる恐れが強いという。
   飼育歴約30年で、3年前、脳卒中で保存会会長を引いた西口一雄さん(72)=高知市春野町平和=は、「仲間は消えていくばかり。やる気のある若い人が3人ぐらい入ってくれたら活気も出るが、時代の流れと鳥インフルエンザで八方ふさがり」とぼやく。
   一方、天然記念物を所管する県文化財課は「現状は伺っており、何らかの対策を検討していかねばと思うが、課題が多そうなので、関係者と一度、話を持ってみたい」としている。

 

 

 

脳卒中で一度は鶏をすべて手放した県日本鶏保存会の前会長、西口一雄さん。羽数を大幅に減らしウズラチャボ(手前)、

ミノヒキチャボ(左)、小シャモ(奧の2羽)など約40つがいを飼っている=高知市春野町平和


 高知新聞(夕刊) 6面記事

 

  風前の「鶏王国・高知」

 

   第1部 衰退の実情を追う

 

  8月15日(木曜日)  ① 休会宣言 無念の選択

  8月16日(金曜日)  ② 主力高齢化 平均78歳

  8月17日(土曜日)  ③ かつては高級ペット

  8月19日(月曜日)  ④ オナガドリ 別格の存在  

  8月20日(火曜日)  ⑤ 消えた宿毛の宮地鶏

  8月21日(水曜日)  ⑥ 人気者だった東天紅

  8月22日(木曜日)  ⑦ 「黄金の鶏」土佐九斤

  8月23日(金曜日)  ⑧ いの町発祥 尾のない鶏

  8月24日(土曜日)  ⑨ 全国的に減るミノヒキ

  8月26日(月曜日)  ⑩ 生きた化石、土佐地鶏

  8月27日(火曜日)  ⑪ 何とか健在小シャモ

 

   第2部 解決策を求めて

      

  9月17日(火曜日)  ⑫ 「ニワトリ」呼称の由来

  9月18日(水曜日)  ⑬ ブームが起きた60年代

  9月19日(木曜日)  ⑭ 動物園が救えないのか

  9月20日(金曜日)  ⑮ 悩ましい金と人の問題  

  9月24日(火曜日)  ⑯ 「文化遺産で飯食えぬ」

  9月25日(水曜日)  ⑰ 熊本地道に鶏ファン育成

  9月26日(木曜日)  ⑱ 思いをくんだ動植物園

  9月27日(金曜日)  ⑲ 発展妨げる「俺が一番」

  9月30日(月曜日)  ⑳ 「秋葉まつり」のSOS

    10月  1日(火曜日)  21 試される本県の「文化力」

 


高知新聞(朝刊)

 

 2013年(平成25年)11月16日(土曜日)8面記事

  方丈の記 その40 「プチコッコ」は今

 

 2014年(平成26年)4月14日(月曜日)15面記事

  プチコッコと動物介在療法

 

 2017年(平成29年)1月1日(日曜日)

  鶏大国・高知が奇跡の復活10年ぶり全国品評会 1/3新年自慢会

 

 2017年(平成29年)12月4日(月曜日)15面記事

  通夜の日に届いた紅白幕

 


高知新聞(夕刊)

 

 2014年(平成26年)12月19日(金曜日)

  県鶏保存会に新会長

 

 2015年(平成27年)12月10日(木曜日)

  「鶏王国・高知」復活へ