本草綱目啓蒙

 国立国会図書館 近代デジタルライブラリー  古典籍資料


 本草綱目啓蒙 48巻  小野蘭山先生 口授  文化2 [1805] [跋]


 

本草綱目啓蒙 禽類 自四十三 至四十四

 

 32/55頁  禽部目録

 33/55頁  鶏

 34/55頁  〃

 35/55頁  〃

本草綱目啓蒙巻之四十四禽部目録

 禽之ニ 原禽類ニ十三種

  鶏

本草綱目啓蒙巻之四十四

 蘭山小野先生口授 孫 小野職孝士徳 録 

  禽之ニ 原禽類ニ十三種

 ニワツドリ(古歌) ヤコエノトリ 

 子ザメドリ アケツゲドリ

 ナガナキドリ トコヨノトリ

 クダカケドリ ユウツゲドリ

 ウスベドリ(下学集) カケ(伊勢物語)

 カケロ ニハトリ 

 

凡そ人家に畜ひ食用に供する者を家鶏(秘伝花鏡)と云う 伊勢物語に多くカケと書せり 即ち古俗名なり 今は地鳥と云い 或いはカシワと呼ぶ 讃州高松にてニホンと云う 黄丹黒白あり 又丹黒 黄白 丹白 黄丹 白黒 黄黒あり 又三色四色駁雑なる者あり 又弱くして闘うこと能はざる鶏を草鶏(秘伝花鏡)と云う 強き鶏を見れば逃去る 故に草鶏雖レ雄多望レ風而靡(秘伝花鏡)と云う 又形大にして能く闘うものをシャムと云う 即ち闘鶏(秘伝花鏡)なり シャムの小なる者を通事と云う 小国はシャムの次なり 又至って大なるをトウマルと云う 即ち鶤鶏なり 

一名蜀鶏 傖鶏 トウマルの中に大鋸歯ある者あり ダイギリトウマルと呼ぶ 又至って小者をチャボと云う 矮鶏なり 一名 夷鶏形状常鶏に異ならずして 脛僅かに一ニ寸 其の最小なる者を南京チャボ 或いは地スリと呼び 上品とす 只其の小にして美なるを愛するなり 又烏骨鶏はウコケイ一名オコッケイ筑前 ヲゴッイ讃州 ヲケラ石州 ヲケラコウ ムツユビドリ 後ろへ出たる指数多し八指の者を上とす 万病回春に烏骨白鶏と云う 羽毛細くして白く食犬(ムクイヌ)の形の如し 冠は紫黒色にして高からず 簇生す 嘴脚倶に黒し 薬餌の用に入る 又雑色なる者あり 又反毛鶏はサカゲノ鶏なり 筑前にてキクチヤウと云う 毛は順に生して 末皆反して前に向かう 数色あり 脚は六指なり